医局を辞めた話

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10年勤務してきた大学病院を退職した。退局する決意から病院退職までの経緯を書きます。

  • 大学病院勤務のままでいいのか?
  • フリーランス先輩医師に相談しよう
  • 退職前に考えたこと
  • 上司と面談
  • 教授と面談
  • さらば大学病院

大学病院勤務のままでいいのか?

大学病院からの給料は少ない。故に外部病院のバイトが必要になる。当時の僕は週5日勤務大学病院分院勤務をしていたが、週3回は外部の病院勤務をする。基本的には、大学病院の勤務時間内ほかの病院で診療するのだが、透析関連の勤務でものあり夕方~夜中の勤務も多い。また、当然常勤病院の日当直もある。カレンダーを見てみると、平日は月3回当直。土日は月1~2回の日当直。週1金曜日は18時から22時までの夜間バイトをしていた。当然家事育児は妻に任せることが多くなってしまい、家族の時間が十分とれていなかった。

そして、COVID19流行時に思ったことは、非常勤勤務で収入をあてにしていると休んだ時の収入が保証されないことである。基本的に常勤であれば、有給を使えば休んだ日当が減らされることはない。しかし、非常勤アルバイトでは病欠した場合は給料がなくなる(当然か)。その不安定さ大学病院に勤務する上での大きなリスクになると感じた。

フリーランス先輩医師に相談しよう

幸い職場にはフリーランスで外来勤務をしている先輩医師も何人かいたので、相談に乗ってもらった。これまで大学病院や市中病院で急性期医療を学び、分院で回復期および療養期医療を勉強しているので、今度は在宅診療の勉強がしたいことが判ってきた。非常勤医の医療保険(医師国保)は大学病院医師会の所属すると割安になることなども教えていただいた。

退職する前に考えること

大学病院を退職するために以下の考察をした。

〇転職する理由

  • 業務過多:受け持ち患者数の増加と外勤勤務で時間的余裕がなくなっている
  • 娘の教育:幼稚園および習い事の送迎問題、真剣に娘のことを考える余裕がなくなっている
  • 業務の偏在:上司との仕事の偏りがあり不満である、自分で仕事を選択できていない
  • 将来:リハビリへの興味より訪問診療など他業務への興味が強い

〇転職後の問題

  • 医局関係:退局するかどうか。在局のメリットは何があるか。
  • 常勤か非常勤か:時間の確保は定期非常勤、社会保障は常勤有利
  • iDecoの移管:退職後の手続きについて調べる
  • 社会保険:愛知医大医師会もしくは県医師会の医師国保への加入。費用の算出を。
  • 厚生年金:国民年金に切り替え。積立額と月ランニングコストの算出を。

上司と面談

2023年6月娘の幼稚園への送迎が必要になり退職する旨を伝えた。すると、大学本院でも3人退職するらしく(しかもみなさん助教以上)、医局は崩壊していると。現在僕が退職すると困るので、以下の提案があった。

①妻に幼稚園の送り迎えをさせ常勤での勤務継続しないか(何も変える気がない。内政干渉である。)

②時短勤務(給与減少の上アルバイトは縮小もしくは中止→分院で働く意味がない)

③退勤時間の調整(給与面での具体案なし)

人材の流出を防ぐために、譲歩しているつもりだが、分院で働くメリットを提示できていない(おそらく上司自身も分院で働くメリットをみいだせていない)。あくまで、大学病院に貢献することは当然でしょといった態度であった。

転職活動継続しよ!

教授と面談

15分程度で退職したい旨をお話した。退職理由として、①幼稚園の送り迎え/育児時間の確保②訪問診療の研鑽をしたい意向を伝えた。こちらの意志が固いことを理解したのか、時短勤務などの提案もほどほどにされたが、それでも強い退職の意向があることをお伝えした。最終的な結論は後日メールで伝えてと言われ解散。翌日にはメールで再度退職の意向を送り無事に了承された。なぜか引継ぎのため4月も働いてほしいとの要請をいただいた。

医局として自分にはそこまでしてとどめる価値のない人材であったことがわかった。自分の価値は自分で決めなければならない。

さらば大学病院

2024年4月ついに分院での最終勤務が終わり2週間の有給へ突入。有給取得に際して上司からあれやこれや言われたが受け流した。最後まで魚の肝のような上司だった。年をとればその苦みも理解できるようになるのかな?別にしたくないけど。

総括

退職を決意してから流れまで簡単に書きました。退職にあたり考えたのは、自分が引き止める側だったらどうしていたかなということ。決して職場や医局に愛着がなかったわけではない。むしろここまで育ててくれて感謝している。それでも、自分の人生を楽しく生きるためには、大学病院での勤務をつづけることはできなかった。

自分が引き止める側ならどうするか?

①実際の業務負担者に話を聞く。そして、改善するにはどうすればいいかなと一緒に考える。

②退職する本当の理由は先に述べない。必ず二つ目もしくは三つ目に本当の理由があるので、しっかり聞く。

③以心伝心なんてない。いくら信頼してる関係でも言わなければ伝わらない。言い合える環境を気づきたいなあ。

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