フリーランス医師の作り方 読了

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医師として働き始めて早10年がたった。なりたてのことろはひたすら知識と技術の習得に自分の時間を使い、30日連続勤務をしたこともあった。しかし、結婚し娘が生まれこの生活で本当に人生を楽しめるのかと疑問に感じた。大学病院の勤務医として働く以外道はないのか。

著者紹介

おると@整形外科

整形外科として複数の医療機関で勤務するフリーランス医師。ブログ「フリドク」を運営。2018年10月末からTwitterで情報発信開始。現在はフォロワー27,000人。

医師の勤務形態

・常勤医

常勤医(勤務医)は正社員のような安定した働き方で、週4〜6日働く。大学病院の勤務医は大学からの給料が少ない分を定期非常勤で収入を上げている。少ない休みに仕事を入れて、通常の勤務時間に外来・病棟・手技・カンファレンスなどの多岐にわたる業務をこなす。

・開業医

開業医は雇用する側である。外来・手技は減るが、従業員の労働管理や経理など経営にかかわる事務的な仕事を行う。診察のコストや利益を追及する必要があり、人間関係や医師会とのかかわりなど医業以外の新郎が増えるが、軌道に乗れば一番儲かる。

・フリーランス医師

フリーランス医師とは常勤医と開業医以外の働き方である。非常勤勤務のみで生きている医師で、複数の医療機関と非常勤契約を結び、週3〜6日働く。常勤医ほど拘束時間は短く、収入はよく、開業医よりも責任がない。

フリーランスでも雇用契約が結ばれる

一般的な個人事業主は、個別契約で「労働者」には含まれないので、労働基準法は適用されない。しかし、フリーランス医師は雇用契約を結ぶため、労働基準法が適用される「労働者」となる。フリーランス医師の場合は、医業を他施設で行うため青色申告のための開業届を出すことができない。メディアや講演料などの医業以外の収入が増えてこれば、事業所得として青色申告申請が可能になる。

フリーランス医師に専門医資格は必要か?

無理のない範囲でできるだけ持っておくべきである。なぜなら、専門医資格の効力は面接時に発揮されるからである。フリーランス医師には一定以上の専門知識を有している必要があり、専門医は雇用契約を勝ち取れる可能性を上げる。

何を目的にフリーランス医師になるか

フリーランス医師の働く目的として①収入重視型と②私生活重視型③兼業型がある。①は恩コールや時間外カンファもなく自由な時間が増える上収入が常勤時の1.5〜2倍に増える可能性もある。②でも8万円×週4×4週間×12ヶ月=年収1,536万円の到達が可能であり、さらに自分で自由に勤務組むことができる。③は投資や会社経営などの仕事をする傍ら働くことである。

フリーランスになって生活の質が改善するか

自分がどう勤務を組むかで決まる。休日がしっかり発生することでメリハリをもって生活ができるようになる。また、目的を持って仕事を組むことで、無駄な時間を過ごさないようにする。医師として自分より自分の人生を優先する。

雇われる立場で最低限必要な要素

経営者はもめ事を極力避けたいため、スタッフとしっかりコミュニケーションができる人材を求めている。患者に真摯に対応できる能力、一定水準の医療を提供できる、清潔感があることも雇用時に評価される。医師は「医療機関の顔」である。接遇スキルを重視する病院も増えてきている。

医師の年収

医師の平均年収は1,161万円(40.9歳)。年功序列で決まり、一定の年齢で頭打ちとなる。50〜60代1,500〜1,700万円でピーク。拘束時間が長く、時給に直すと5,436円(年労働時間は2,136時間)。フリーランス医師の収入は単純に給与×日数である。1日の相場は8〜9万円である。所得税や社会保険料が引かれることに注意が必要働けば収入は増え、休めば収入は減る

医局へ退局を切り出すタイミングについて

転職はいつか伝える必要があり、先延ばしにしてもよいことはない。少なくとも6ヶ月前に希望をだす「半年ルール」が存在する。専門医取得から15年以内の中堅は今後医局の中心になって働くことを期待されており、中途半端な決意では引き止められる。

いつ退局するか

年度末である。理由は①他の医師の異動のため、引継ぎがしやすい②人事が動く時期のため、新しい職場に入りやすい③人事異動や医局退局に伴い転職サイトに求人が出やすく、就職活動がしやすい。

医局や職場をやめるときの伝え方

①なぜやめたいのか

②やめて今後どうするのか

③将来的に何がしたいのか

④医局に対して何か不満があるのか

⑤退職を数年待てないか

⑥何を改善すれば医局に残るのか

⑦最大限配慮するから医局に残らないか

こういった質問に即答できなければ、引き止められる可能性がある。むしろ即答できなければ、転職はあきらめた方がよい。

やめる理由は他人も自分も納得できるもにする

具体的には、

①地元に帰らなければならない

②開業を考えている

③育児に専念したい

④知り合いの病院を手伝いたい

⑤ほかの専門的な病院で修行したい

退職先が決まっていれば、「引き止めても無駄」となる。

★面談にはしっかり礼節をもって望む

すぐにばれるような嘘はつかない。医療界は狭く、フリーランス医師になった後も、仕事にダイレクトに影響がでる。なぜなら、医局は現代でも各方面への影響力が強く、学会や勉強会で確実に出会う。

フリーランス医師になる=人生をプランニングする

フリーランス医師になるにあたって以下のことを考える。

①今後どう人生を歩んでいくか。

②フリーランス医師として何年くらい活動するか。

③勤務はどこでおこなうか。

④子供進学などのイベントで生活がどう影響するか。

⑤フリーランスをやめる(常勤にもどる)場合はどのタイミングでもどるか

⑥開業を視野にいれるか

仕事を探す3つのルート

(1)医師転職サイトからの紹介

 登録から入職まで最短で1か月程度。平均すると2~3か月が相場。非公開の部分が多く、申し込むと詳細を教えてくれる。転職だけでなく、退職のプロでもある。

ポイント:フリーランス医師は必ず医師転職サイトを使用したほうがいい

エージェントの能力評価のポイント

①転職希望者が真に求めるものを理解する力がある

②転職希望者個人の転職についてしっかり考える(転職者の個性の把握)

③希望条件に対する応用力

④人間的な相性

(2)知人や医局からの紹介

 開きなおってそうそうに退局を打ちあけることで仕事を紹介してくれることもある。最初から少し印象が良い状態で面接に望むことができる。明らかに合わない場合はすぐやめることもできる。また、医師転職サイトを併用することで、内部事情を得ることができる。

ポイント:自分が手にした情報は必ず誰かに相談する。

(3)医療機関の募集を見て直接応募する

 地域の医師会に求人情報を問い合わせたり、インターネットで検索する。直接交渉になるので、転職サイトを利用しない分給料を上乗せできる可能性もある。しかし、契約関連のトラブルは自分で対応する必要がある。
ポイント:3つの方法どれか1つにこだわって活動することはよくない。

面接に行こう

面接時に少し施設内を見学できるか交渉する。大学勤務時は履歴書を作成したことが、少ないが、フリーランスに履歴書は必須である。職務経歴書で症例数や研究事業をアピールする。

・面接にいった時にチェックすべき点

①施設のホームページをチェックする

②Googleレビューを確認

③勤務内容は具体的に聞く

④面接官を観察する

⑤医療転職サイト担当者は前にいた非常勤医師がなぜ辞めたのか、なのど情報を聞く

大事な「雇用契約書」

雇用側と労働者が合意し契約をとり交わしたことを書面として残す。トラブルの際に医療機関側に抗議することができる。

ポイント:トラブル時には雇用契約書に基づいて話をすることになる

ポイント:フリーランスは医局のようなバックはないため、必ず雇用契約書を請求する

・雇用契約書のチェックすべきポイント

①労働契約の期間

②働く場所、業務内容

③通勤交通費

④始業、終業の時刻

⑤休日、休暇の規定

⑥賃金

ポイント:契約書をもらったら絶対その場でサインをすることはしない。持ち帰って何度も読んで確認すること。

ポイント:フリーランス医師はビジネスライクに振る舞い、間違いない契約をしなければならない。

フリーランス医師になろう

・厚生年金から国民年金への切り替え

市区町村の窓口で、退職から14日以内に届け出る。年金手帳、退職の日付がわかるもの、印鑑、身分証明書が必要。

・健康保険の切り替え

①国民健康保険

一般国保または医師国民健康保険組合に加入する。医師国民健康保険組合には医師会で加入することができる。保険料は収入にかかわらず固定であり、一般国保よりも割安である。

②健康保険の任意継続

2年間の限定であり、保険料が安い。退職後20日以内に任意継続被保険者資格申出書と扶養事実を確認できる書類が必要。1日でも申請が遅れると加入できないので注意が必

感想

フリーランス医師の関して必要な情報がコンパクトに詰まっている。文章も読みやすい。個人的には医局からの辞め方は大変参考になった。僕も転職エージェントを使いいくつかの病院と面接を開始している。一般企業の年功序列、終身雇用が崩れる中、医療業界もその波に逆らうことはできないだろう。いかにほかの差別化を図り集客するか。医師という専門職に胡坐をかける時代は終わると思う。

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